ヒルルイの寝相
葉柱の寝相は、酷い。
悪いを通り越して、もう酷い。
セミダブルのベッドで一緒に寝てると、狭いスペースで器用にくるくると何度も寝返りをうつ。
最初、眠れないのかなーと思って様子を見たら、寝てんだよなアイツ。
大体同じ方向に回ってるから、上に乗った布団が押し出されるようにコッチへ押しやられてくる。
そのクセ寒いと、手や足を使ってこれまた器用に布団を回収する。
そういう動作を、一晩中、本人はぐっすり快眠しながら繰り返す。
常にもぞもぞもぞもぞ動いてるから、隣にいる身としてはうるさくってしょうがない。
ベッドの上に縛り付けといてやろうかと思ったけど、試しに押さえつけるように上から腕を乗せたら、ちょっともぞもぞして、動けないことが分かるとそのまま大人しくなった。
そういうワケで、一緒に寝るときは、葉柱がくるくる回りだしたのを確認して、腕を乗せて大人しくさせて、それから寝ることにしてる。
離すとまた回りだすので動けないけど、隣の静かさと引き換えになら悪くない。
ただ、今はまだ涼しいからいいけど、夏になったらちょっと嫌だなーと思う。
そうやって寝るのを何度か繰り返してると、ある日朝起きたら、葉柱が腕の下でにまにまと笑っている顔と目があった。
「おはよー」
先に起きたらしい。
なんだかやたらと上機嫌で、いつにも増してアホみたいな顔してる。
「お前ってさー」
それから、なぜか喉の奥でくっくっくと笑いながら、懐いて胸にすりよってくる。
「寝るとき、オレに抱き着いて寝るのな」
押さえつけられてる葉柱は、抱きしめられてると思ったらしい。
「…………そーだな」
バカって、幸せそうでいいよな。
'13.06.25