ヒルルイでヒル誕




「やっぱピアスかよ」

ソファの上で、小さな箱を開けたヒル魔がそう言って笑う。

「うるせーよ。嫌なら返せ」

オレだって芸が無ェなとは思ったけどさ。

ヒル魔の好きなモンってなんだろうって考えて、真っ先に思いつくのはアメフト関係だけど、ソレに関してはコイツ本気だから、なんか拘りとかあるだろうしプレゼントとしては難しい。
食い物ってのも考えたけど、食べてなくなるものより、やっぱ残るものの方がいいなーって考えて、ついでに身に着けるもんだと更にいい。

ヒル魔はアクセの類はピアス以外つけてるの見たことないし、特に指輪を嫌がる。
ヒル魔が言うから、最近はオレも指輪をするのをやめた。手ェつないで指絡めるときに邪魔だからって。
コイツ意外なほど自分の指大切にしてるからな。爪割れねェようにマニキュア塗ってるし。
ボール投げる感覚が狂うのが嫌なんだと。ホント生活の中心がアメフトだよな。

「オレになんかくれるヤツって、皆ピアスなんだよなー」

「皆」って誰だよ。
歴代のテメェの女のことでも思い出してんのか。
コイビトと家で誕生日を祝ってるときに、そんなコト言うなんて間違ってねェ?

その女どもも、オレと同じようなコト考えてピアスに至ったんだろうなと思うとちょっとムカつく。
つーか、まさかいつもしてるソレは、誰かからのプレゼントだったってんじゃねェだろうな。

「つけて」

手の中の箱を渡されて言われる。
コレ、結構気に入った?
お前穴4つも空いてるし、どんなのがいいか結構悩んだ。
派手目じゃなくて、普段ずっとつけてられるのがいいかなーって。

ソファに並んで座ってたヒル魔が、身体をコチラに向けて座りなおす。
今のピアスを外すために耳に手を伸ばすと少しくすぐったそうに首を捻って笑う。

いつものリング状のピアスを外すと、すっかり安定してるピアスホールが見える。
いつから開けてんだろう。コイツのことだから、小学生から開けてたって言われても疑わねェな。

「どう?」

4つ分のピアスをすっかり付け替え終わると、ヒル魔が笑って聞いてくる。
どうって…………。

「……似合ってる、よ」

なんだこれ、ちょっと恥ずかしいんだけど。
オレ、女相手には結構こういうのサラっと言える方のタイプだったのに。

「ま、もとがイイからなオレは」

コッチの胸中なんてよそに、ヒル魔は当たり前みたいにそんなフザケタこと言って、新しくつけたピアスを確かめるように自分の耳を触ってる。
鏡とかもってきてやったほうがいいのかなと思って立ち上がろうとしたら、その前に腰を掴んでひきよせられた。

「今日はさー……」

そのままぎゅっと抱きしめられて、耳元で囁かれる。

「サービスしてくれんだよな?」

そんで、イヤラシく腰の辺りを撫でられた。

「…………」

サービスって、やっぱアッチ系のサービスってことだよな?
まぁ、多少、っつーか、結構そのつもりはあったけど。
期待されるのに悪ィ気はしねェが、なんで照れもせずそういうこと言えんだよテメェは。

正直にいいよと言うのも躊躇われて、キスをして誤魔化すことにする。
顔を近づけたらヒル魔が笑ってたから、多分バレてんだろう。

楽しそうな声で「ベッド行こうぜ」って誘われて、いつもだったら押し倒されてるところ、今日はヒル魔の上に伸し掛かるようにベッドに上がる。
まずどうしたもんかと一瞬迷うが、もたもたしてるとコイツすぐ恥ずかしいこと言い出すからと思って、そうなる前にもう一度キスして口をふさぐ。
それに答えてくる舌がいつもより消極的だから、やっぱオレに頑張れってコトだよな?

「脱がして」
「……うん」

最近気づいたんだけど、コイツ機嫌がいいときは口調が「命令」じゃなくて「お願い」っぽくなるんだよな。
で、困ったことに、オレは命令されるよりもお願いされる方がお前に逆らえないんだけど。

Tシャツの下に手を突っ込んで、そのまま上に引き上げるとヒル魔が腕を上げて脱がせられるのを手伝う。
いつもだとこの辺でコッチも脱がしてもらえんだけど、お前ホントに今日は何もするつもりねェのな。

しょうがないので自分で脱いでると、下のヒル魔が機嫌よさそうに太腿の辺りを撫でてきた。
全部脱いでから改めてヒル魔の上に乗る。触れ合ってる素足の辺りが気持ちいい。

その感触を少し楽しんでいると、「早くしろ」と言わんばかりに頭を掴んで引き寄せられる。
出来るだけ肌がつっくつように上半身を重ねて体をくねらせて、それから今あげたばかりのピアスにキスをした。

こういう感じであってる? と思って少し様子を伺うと、「続けろ」って声が聞こえてきたから、間違えてはないっぽい。

そのままキスをこめかみ、額と移していって、左手でヒル魔の腕を撫で、そのまま指を絡めて手をつなぐ。
お前が大事に大事にしてるその指が、結構感じるコトだってのを知ってる。

髪や顔にキスを続けていると、ヒル魔が一切目を閉じないことに気づいた。
可愛くねェなお前は。こういうとき、ちょっとくらい目ェ伏せてみせるもんじゃねェの?

そう思って瞼に口を寄せると、やっと一瞬だけ目が閉じられる。
それに気を良くして今度は首筋、鎖骨とキスを落としていく。
繋いでる手を親指で撫でられたから、イイってこと?

胸まで来た辺りで、薄い色の乳首を舌をとがらせるようにして舐める。
ヒル魔がくすぐったかって笑ってるのが胸の振動で分かる。

でもオレ、実は知ってんだよね。お前結構ココ、感じるだろ。
くすぐってェとか言って誤魔化してるけど、実はイイんだろ?

丁寧に舐めてると硬く尖ってくるのを、今度は周りの肉ごと強く吸う。
軽く噛みつくと、つないだヒル魔の手に一瞬力が入る。
もう一個の方に口を移して、空いた方は指で触る。唾液でヌルついてるそこを擦ったり摘まんだりしてるとヒル魔が小さく息を吐いた。
やっぱ、感じてんじゃん。

「……早く下いけよ」

それを誤魔化すようにヒル魔が手で頭をおしかえしてきた。
なんだよ。照れることねェじゃん。
オレだって乳首結構イイし。
まぁ、そこで喘ぐってのが恥ずかしいってのは分からなくもないけど。

一瞬反論しようかと思ったけど、今日はヒル魔の誕生日でオレはサービスの途中だったってことを思い出して、誤魔化されてやることにした。
ヒル魔の手に頭を押されるままに臍まで降りてきて、それから腿の付け根にもキスをする。

「…………」

つーか、下って、やっぱ下だよな。
ヒル魔の脚の間でまだ萎えている性器を見る。

「早くしろよ」

動きを止めたのを咎められて、またぐいぐいと頭を押された。

いや、分かってんだけどさ。
オレ、あんま好きじゃねェんだよな。フェラチオってやつ。

別にヒル魔のアレ舐めんのが嫌だったことじゃねェんだけど、してやるとコイツずっと「ヘタクソ」「ヘタクソ」って言ってきて、最終的にはオレの髪ひっつかんで無理やり頭降らせたり、勝手に腰使って突きまくってくるから苦しい。
文句言っても、「お前が下手だから悪ィ」てちっとも悪びれやしねェし。

「オイ」

踵で腿の辺りを軽く蹴られる。
うるせーな。分かったよ。だたし文句言うんじゃねェぞ。

「ん…………」

まだ勃ってないそれを丁寧に舐める。
何回か繰り返すと頭をもたげ始めて、それを手で支えるようにして裏側も。

手を使って緩く扱いて、先端を舌で押すように舐めたり先っぽの穴を弄るように突いたりしてると、すぐにカリがすっかり膨らんで勃起した状態になった。
ほら、オレ、そんなにはヘタじゃなくねェ?

ヒル魔の手が、今度は優しく頭を撫でてきた。
でもこれって多分、褒められてるってよりは早く咥えろって催促されてんだよなきっと。

今までの嫌な思い出が頭をかすめるが、ここまできたらグズっててもしかたねェし、意を決してそれを銜え込む。
唇を使って挟むようにして、頭を上下に動かしてみる。
こんな感じでイイはずなんだけど……。

「お前……」

ヒル魔の手が、今度は慰めるような感じで撫でてきた。

「ホント下手だよな」
「……うるせーよ」

なんでそんな可哀想なモンみるような目で見てくんだよ。
舐めて銜えるだけなんだから、誰がやったってそう大差ねェんじゃねェの?
イチイチ文句ばっかつけてきやがって。

「ちゃんと銜えてんだろ」
「じゃなくて、もっとあんだろ」

知らねーよ。

「しょーがねーなー」

それまでコッチにまかせっきりだったヒル魔が上半身を起こす。
どうすんだろうと思ったら、ベッドの端に座って「こっち座れ」って。

「こっち」って、床?
言われるままにヒル魔が開いた脚の間に膝をつくと、「銜えろ」つって唇にアレを押し付けられた。
なんだこれ。凄ェ屈辱的なんだけど。

「なんでこの体勢でヤんだよ」

さっきみたいにベッドの上でいいじゃん。

「こっちのがヤリやすいだろ」

そりゃ、そうかもしんねェけど。

「なんかムカつくんだけど」
「いいからやれ」

グイグイ押し付けられて、しょうがなく口を開く。
だいたい、ヘタで気に入らねェならやらせんじゃねェよ。

「口窄めろ」
「……う?」

指に頬を撫でられながら、言われた通りに顎を開いたまま唇だけ性器にぴったりくっつくように窄める。

「そうそう、そのまま動けよ」

ゆっくり頭を押されるのに合わせて深く咥えて、それからまた引いてを繰り返す。
なにこれ、異常に顎疲れんだけど。

「で、舌も使え」

どうやらヒル魔は上手くやれるように教えてくれる気なのかもしれないけど、この跪いてる体勢といい、上から命令されてることといい、オレあんまおもしろくねェんだけど。
だいたい、舌使えったって、舌使うスペースなんかねェよ。どうしろってんだ。

「オイ」

もたもたしてると上から咎めるような声が降ってくる。
このままだといつもみたいに髪の毛ひっつかまれてムチャクチャされんなと思って、慌てて舌を動かす。
奥まで咥えてるとできないから、引いたときに空いたスペースでくびれんトコや先端をぐるっと舐める。

これであってんのかと不安になってヒル魔の方を見てみてると、少し目を細めて笑ってる顔が見えた。
もしかして、今オレ結構上手く出来てる?

命令されてることにムカついてたはずなのに、それだけでちょっと気分が良くなる。
お前が可愛く啼いてくれたりすりゃ、もっと気分でるのに。

「口離さねェようにして、もっと吸って」

注文はまだあるらしい。奥が深いのな。

言われた通り隙間が出来ないように口を窄めたまま、頭を引くときに強く吸ってみた。
ジュルって水音がして、なんとなく恥ずかしくなる。

でもそういえば、コイツがオレのやってくれるとき、こういう音してんな。
確かに吸われる感じが凄ェヨかったのを覚えてる。
でもコイツ、音立てすぎなんだよな。アレ、結構恥ずかしいんだけど。そういうのが好みってことか?

今度はワザと音が出るように、唾液をいっぱい出して吸いながらしゃぶる。
頭に添えられた指にちょっと力が籠るから、結構イイらしい。

「……お前、飲める?」

力が入って時折痙攣するようにヒクついてる腹筋を見て、そろそろかなと思ってたらそんなことを言われた。

「うーん……」

しゃぶるのを止めないまま少し考える。
別に、飲めって言われたら飲んでもいいんだけど、オレ、それもあんま上手く出来ねェんだよな。
口の中で出されっと、どうしても咳き込んじまって。

「じゃ、飲まなくていいから、口開けてろよ」

どういうことか聞く前に、頭を掴まれて2、3度強く突きこまれる。
苦しいと思う間もなくすぐに抜かれて、目の前でヒル魔の手が自分で扱いてるのを見た瞬間、顔に熱い精液がかけられた。

「口閉じんな、舌だせ」

咄嗟に目を瞑るとそう命令されて、びゅくびゅくと顔にソレがかかるのを感じながら口を開いて、舌を突き出す。
頬に、舌に、熱いもんがかかってくる。

「ん……」

最後にヒル魔がちょっと呻いて、それが終わったのを見計らい恐る恐る目を開けてみる。
ヒル魔が満足そうな顔で、汚れた顔を見下ろしてきてるのが見えた。

「……顔射かよ」
「お前だって、スグオレの顔に出すじゃん」

ニヤニヤとムカつく笑いを止めないヒル魔に悪態をついたらそんな返事。
そりゃ、そうだけど、アレは狙ってるワケじゃなくて、舐められてるときについ出ちまってたまたまそうなるだけだっつーの。

口を動かすと青臭い匂いが鼻を通って一気にあがってくる。
それにちょっと顔をしかめると、ヒル魔の指に頬を撫でられた。
ヌルついてるから、多分ワザと顔についた精液を広げてる。ホント趣味悪ィなテメェは。

そのままその指を口にもってこられたから、舐めろってことだよな。
精液を舐めとるように丁寧にしゃぶると、ヒル魔が満足そうに鼻を鳴らす。まぁ、楽しそうでなによりだよホント。

「コッチも」
「…………そこまでさせるか?」

指が抜かれたら、一回だしてちょっと萎えてる性器も突きつけられた。
いわゆる「お掃除フェラ」ってヤツだよなそれ。

「ほら」

唇に押し付けられたんで、しょうがなくそれも同じように舐めた。
先端に残るのを吸い出すようにしてから口を離すと、上のヒル魔は今度こそ本当に満足したようだ。

「まぁまぁ上手くなったんじゃねェの」

なんだよ「まぁまぁ」って。イったくせに。
床から腰を上げてベッドに上る。

なんとなく不貞腐れてたら、ヒル魔にティッシュで顔を拭かれた。
なに、急にちょっと紳士的なことしてんだよ。

「キスしにくいじゃん」

あ、そう。お前のためかよ。
流石のお前も、自分のセーエキが顔につくのとかは嫌なんだな。

適当に拭かれると、宣言通りにキスされた。
オレ、ついさっきまでお前の咥えて、しかもアレも飲んだんだけど、それはいいの?

さっきと違って、積極的に舌で口の中を探られる。
それが気持ちよくて首に手を回したら、ゆっくりとそのまま後ろに押し倒される。

「……騎乗位じゃねェの?」

今日はサービスしろって言ってたから、オレ、それさせられんだと思ってたんだけど。

「テメェの騎乗位じゃ、ヘタ過ぎてサービスになんねェ」

うるせーな。さっきからヘタクソヘタクソってっよ。
自分がちょっと上手いからって、調子ノってんじゃねェ。

「しょーがねーじゃん。オレ、男となんてしたこと無かったんだから」
「そう。イイコだな」

なんだよ「イイコ」って。バカにしてんのか。
って思ったのに、ヒル魔の顔が優しげだったから、言えなくなった。

「後ろからな」

だからもっと顔を見てたかったのに、うつ伏せにひっくり返される。
オレ、前からのが好きなんだけどなー。
まぁ、今日はお前の誕生日でサービスするヤクソクだから、好きなようにしてもらっていいケドさ。

首筋にヒル魔の唇を感じる。
さっきオレがしたみたいに、今度はヒル魔が上から丁寧にキスを落としてくる。

時々チクっとするくらい強く吸われてるから、多分痕がついてんだろうな。
オレが付けると怒るくせに、自分は遠慮なんてしやしねェ。

そのままされるがままになってると、腰骨の辺りを掴んでケツを上げさせられた。
初めてやる格好ってワケじゃないけど、やっぱ恥ずかしい。

冷たいローションの感触と、それを塗り付けてくるヒル魔の指。

「……オレ、なんもしなくていーの?」

結局いつもみたいに、お前に色々してもらってるだけなんだけど。
しかも前からならともかく、この恰好じゃなんも出来ねェ。

「じゃ、なんかエロいこと言えよ」
「…………あ?」

咄嗟に頭の中に「おっぱい」「マ×コ」「セックス」って単語が浮かんできたが、いやいやそうじゃねェだろ。
つまりなんか、気分でるような、雰囲気でるようなこと言えってこと?

「……例えば?」
「そんくれェテメェで考えろ」
「んっ……」

軽口を叩きながらも、後ろを弄り続けられて腰が揺れる。

ホント、コイツの趣味は親父クセェ。
声出せとかエロいこと言えとか。

まぁオレも、お前が声だしてくれっとカナリ感じるから、気持ちは分からなくもないんだけど。
あと、「スゲーイイぜ」って掠れた声で言われるときとか。

思い出すと、それだけで背骨の辺りがじんわり痺れてくる。
だからコイツも、「気持ちいい」って言ってやったら喜ぶかなと思う。

「ヒル魔……」
「んー?」

ただ、困ったことに結構恥ずかしい。
でも今日は誕生日だから、特別だからってなんとか自分に言い聞かせて覚悟を決める。

「あの……気持ちイ…………」

思った以上に甘えた声が出て、更に恥ずかしくなる。
後ろ向きだから、顔が見えなくてよかった。

ただヒル魔の反応は、期待したような感じじゃなくて、バカにしたみたいにケケケっていつものやり方で笑ってきた。

「躊躇してっからどんな凄ェこと言ってくれんのかと思ったら、お前それいつも言ってんじゃねェかよ」
「……あぁ?」

こっちは恥ずかしいとこ凄い覚悟決めて言ったのに、なんだよそれ。

「『イイ』『シヌ』『もっと』っての、いっつも叫んでんじゃん」
「あァ!? してねェよ! そんなことっ!!」
「いーや、言ってる」

言ってるか? 言ってねェよな?
いや、言ってるかもしれないけど、「いつも」ってことねェだろ。

「覚えてねェの?」
「…………」

覚えてねェって言ったら、なんかオレ淫乱っぽくて嫌じゃん。
だからって、覚えてるって言って、それを認めんのもカナリ嫌。

「で、今日は何言ってくれんの?」

ヒル魔はまだ「エロい言葉遊び」を止める気はないらしい。
そんなこと言ったって、オレ、いつも何言ってんの?

「じゃ、今まで言ったので、一番ヨカッタのってなに?」

お前が喜ぶのって、どんなん?

「んー……」

ヒル魔がちょっと考える気配がして、顔の横に手が置かれた。
ぐっと体重をかけられたベッドが撓んで、ヒル魔の顔が耳元に近づく。



「『お前用のカラダにして』……かな」



「…………うっ……そつけっ!」

カーっと頭に血が上るのを感じた。多分、今顔は真っ赤になってる。

「嘘じゃねェよ」
「嘘つけ! 言うワケねェだろそんなことっ!!」
「言ったって。一回だけだけど」

嘘だろ!? いくらなんでもそんなこと言うかよ!
恥ずかしすぎて枕に顔を埋めたら、項のあたりを下から掬うように撫で上げられた。
多分、髪をあげられて、赤くなった首を見られてる。悪趣味な野郎。

「絶対嘘だ……」
「ホントだって」
「嘘だろ……」
「ホント。しかも初めてのとき。可愛かったぜ。オレの挿れられて、泣きながら言ってたから」

〜〜〜〜〜〜〜〜っ。

「な、もっかい言えよ」

ヒル魔の身体が離れて、代わりに後ろにアレがあてられる。

「言わねェ……つーか、言ってねェ」
「いーかげん認めろよ」

先端で入口を擦るように撫でられる。
たまにぐっと力を入れて押し当てられるけど、まだ入ってはこない。

「言わねーと、くれてやんねェぞ」

テメェ、自分は一回出したからって余裕コイてんじゃねェ。

黙ったままでいると、尻の肉を鷲掴みにされてもまれる。
竿んとこでその間にこすり付けられるように腰を使われると、挿れてほしくて腰が切ない。

だからって、絶対言うかよ、そんなこと。

だいたいなー。


「……もぅ、お前用のカラダだろ」


ヒル魔の動きが一瞬とまったかと思ったら、期待通りに思いっきり突っ込まれた。
そんな乱暴な挿入なのに、身体が全身、快感に喜んで震える。

ほらな、すっかり、お前用じゃん。


'13.04.22