ヒルルイとおクスリ




電話で部室に呼び出した相手は、「久しぶり」とか言いながら、ポケットから白い錠剤を取り出した。

「ヒル魔さんもやります?」
「やんねー。この前お前と喰ったヤツ最悪だった」

影で「クスリ屋さん」なんて揶揄されてるコイツは、その名の通り色んなドラッグに手を出してる。
前に呼び出したのがいつだったかもう忘れたけど、そんときもいいもんが手に入ったなんつって一緒に喰って、ヤッてるときはカナリよかったが翌日の頭痛と吐き気がとんでもなかった。

「この前のは混ぜモン多くてダメっしたね」

睨みつけて言ったセリフに飄々とそんな言葉で返して、ラムネでも食べるかのようにその白いクスリをアッサリと口に含む。

「これは試したけどマジ凄いッスよ。下半身溶けてなくなったかと思うくらい」

許可なく喰ってんじゃねェよと思ったが、ソイツの喉がコクっと鳴る音が聞こえて、既に手遅れだ。

「マジぶっ飛びますから」

安いパイプ椅子に座るヒル魔の膝の上に跨ってしなだれかかってくる。
既に呼吸が荒いのが、興奮してるせいなのかそれとも今喰ったクスリのせいなのかは分からない。

「触んじゃねェよ」

調子にのって顔を撫でてくる手を払いのける。
穴だけありゃいいんだから、ベタベタしてくんじゃねェ。

「一個よこせ」

そう言ったら、「やっぱりね」みたいな顔で笑う。
ムカつく顔すんじゃねェ。
テメェだけクスリキメてテンション上げられると、ヤってる途中にコッチが冷めるんだよ。

1cmにも満たない丸くて平べったいそれには、アルファベットが一文字刻印されているのが見える。
まぁ、最近よく聞くヤツだな。
即効性が高くて、音ハマりがいいって。

それを一個飲み込んで、効いてくるまで目を閉じて待つ。
クスリ屋は自分のポケットから取り出したローションで自分の後ろを解してる。

「あ…………」

勝手に盛り上がってるのを無視して、耳に神経を集中する。
クスリの効果で、荒い呼吸音が嫌に鮮明に聞こえるようになってきた。
確かに、こいつは結構凄ェかも。

音が、耳の中を通って全身を撫でるよう。
興奮してきてジッパーを下ろすと、その音さえ頭を突き抜けて気持ちいい。

「ケツ向けろ」

自分でシゴいて勃たせながら言うと、ソイツがニヤニヤと嫌な笑いを浮かべる。
それが癇に障るので顔を平手で殴ったのに、まったく堪えた様子もなく、口元を緩めて笑ったままだ。

まったくテメェはウザってェ。
ただ、手間がかからないのと、たまにこうやって掘り出し物を持ってくるから、そこそこの頻度で使ってる。
コイツも、それが分かってるからこうして毎回新しいヤクなんて持ってきてんだろうけど。






「今の、まだ持ってんの?」

テーブルにうつ伏せに押さえつけたまま好き勝手使って、満足したところで身体を離す。
好き勝手っていっても、コイツも勝手に楽しんでやがるんだから問題ねェし。

「気に入りました?」

結構な。
いつもはテメェがバカみてェに喘いでる声が鬱陶しくてムカつくってのに、それで興奮するくらいってだから相当だ。

「あるだけ置いてけ」
「また呼んでくれたら持ってきますよ?」
「いーから置いてけ」

わざとらしく拗ねたような口調なのを一蹴する。
こんなイイモン、テメェとだけ使うんじゃ勿体なさすぎだろ。

「じゃー、これ」

ソイツが出したのが、よく見る小さいラムネの入れ物だから笑った。
なにこれ。偽装ってことか?
そうだな。これだったら、持ってて職質されても大丈夫かもな。

「そこ置いて、とっとと失せろ」

クスリの効果が切れたのと、出した後ってことで、急激に目の前のコイツがウザくてしょうがなくなる。
受け取るのに触ることすら煩わしい。

「無くなったら、言ってくださいね」

これがあるうちは、自分に用が無いってことが分かってるんだろう。
少し惨めっぽくそう言ったと思ったら、ポケットから別の薬を出して無造作に食べる。
色とりどり。いろんな種類のを。

「早く帰れ」

やっぱコイツ、マジでイカレてんな。
そんな喰いかたして平気なのは、もうクスリに慣れ過ぎて、多少じゃ効かなくなってるからだ。
流石にちょっとヒク。
そのうち酷ェのにあたって死ぬんじゃねェかと思うけど、まぁそれまでは便利に使わせてもらおう。

ドアが閉じられて、足音が聞こえなくなる程遠くなってから、ダラダラと服を整える。
意外と腰がダルくて、帰るのがメンドクセーなと思ってから、最近手に入れた奴隷のことを思い出した。

そういやバイクがあるし、送らせようかな。

「泥門、タクシー1台な」

すぐに電話してそう呼びつけた。
今の手持ちの奴隷の中じゃ、まぁまぁ気に入ってる。
特に、移動するには持って来いだし。

バイクっての、意外といいよな。
特にアイツのは、乱暴で早くてスカっとする。
取り柄がそれだけだから、まぁ60点かな。
あぁ、でも、ごちゃごちゃ口答えしてきたりもするから、いいとこ55点か。

待つ間ボサっとしてるだけなのも時間の無駄なので、鞄からノートPCを取り出してテーブルに置いた。
やることなんていくらでもある。
手が二本しかねェってのは困り者だ。全然足んねェし。
しょうがないので奴隷で補う。
ただ、どいつもボンクラだってんだからしょうがねェけど。






「帰んねーのかよ」

タクシーとして呼び出した葉柱は、10分待たせたところで早々にイライラした調子でそう言った。

「うるせー。待ってろ」

少しのつもりでやりだした作業が、結構興に入って止め時を失う。
つっても、まぁせいぜいあと30分くらいか?
だからそのくらい大人しく待ってろと思うのに、葉柱は座ったと思えば立ち上がり、せかせかと狭い部室内を歩いて、それからまた座る、なんてのをバカみたいに繰り返してる。

鬱陶しいなテメェは。
やっぱ30点だな。

「終わってから呼べよ」
「動くな。座ってろ」

気が散ることはないけど、ウザったいことには変わりない。
だいたい、テメェがあと5分早く来てりゃ、こんなこと始めなかったからスグ帰ったんだよ。
恨むなら、テメェのノロマさ加減を恨め。

「オレ、腹減ってんだけど」
「知らねーよ」

うるせーなコイツは。
座れと言ったら立ち上がることは無くなったけど、脚をブラブラさせたり顔をキョロキョロさせたり、文句を言う口も止まらねェし。

やっぱテメェは10点だ。
マジ使えねー奴隷だよ。

「なぁ、コレ食っていい?」
「勝手にしろ」

部室の中には、糞デブや糞マネなんかが置いて言ってる菓子の類があったりする。
だから卑しくもそれに目を付けたんだと思ってそう返して、それからカシャっていうプラスチックと軽いものが触れ合う音でアレを思い出し、少し焦って振り向いた。

「え? なに?」

アホみたいな顔した葉柱が持ってたのは、やっぱりさっきクスリ屋から貰った例のヤツで、しかもすでに食った後みてェ。

「……それ、何個食った?」
「なんだよ、ケチケチすんなよ。こんくらいで」

ふざけんな。
テメェ、それの市場価格がいくらか知ってんのかよ。
まぁ、オレも自分で買ったワケじゃねーけど。

「いーから。何個食ったんだよ」
「えー? 二個、かな?」

どうやら無造作に取り出して口に入れたらしい。
二個なのか三個なのかは分からないが、確実に一個ではないんだろう。
勿体ねェことしやがって。

「お前って、クスリとか慣れてる方?」
「は?」

それと、一応心配で聞いてやる。
まぁ、心配なのは、お前じゃなくて、これから送ってもらう予定のオレの都合なんだけど。

「なに言っ…………」

だから、葉柱が急に白目を向くみたいにグルっと上を向いて、そのまま膝から崩れ落ちたのをみて死ぬほどうんざりした。

つーか、テメェまさかマッサラかよ。
賊学の不良さんたちは、意外とイイコちゃんか?
凄ェ反応すんな。
オレ、初めて喰ったときでさえ、そこまでじゃなかったけど。

まぁ、結構強いヤツだし、複数個なんて急に喰いやがったからなのかも。

「立てるかよ」
「あ………、な、に……………」

床の上に蹲るみたいになってる葉柱の腕に手を伸ばす。
せめて椅子に座らせようと、腕を掴んで引き上げようとしても、手をブルブル震わせたまままったく動かない。

勘弁してくれよ。
まさかオレが介抱すんのか?

どっか別の場所だったら、確実に放っておいて帰るとこだけど、あいにく泥門の部室内だ。
こんなとこに、薬物中毒者なんか置いておけるわけねーだろ。

「立てよ」
「あ、あっ……」

無理を承知で言ってみる。
葉柱は身体をビクビク痙攣させたけど、それで終わり。

こんな状態じゃ、部外者呼んで押し付けるわけにもいかない。
あぁ、でもそうか。
部外者じゃないヤツに押し付けよう。

「賊学のヤツの連絡先は?」
「あ…………?」

言われてることが分かってるのか分かってないのか、葉柱がボンヤリした視線を返す。

「呼んでやるよ。お前らの主将が急病だって」

自分の携帯には、賊学の連絡先は葉柱しか入ってない。
人数必要なときでも、どうせ葉柱に集めさせて使うから。

とりあえず誰か呼んで、お前のこと押し付けて、ついでにそのうちの一人には、オレのことを送らせよう。
凄ェイイ考えじゃん。

「あぁ、でも、こんな状態で呼んだら、お前マワされちまうかもな」

こういう軽口を叩くときって、別に何か考えてるワケじゃない。
人のこと小馬鹿にするのはもうクセみたいなもんで、無心でいたって口は勝手に憎まれ口を叩く。

ただ、そう言われた葉柱が急に緊張した表情を見せたので、ピンときた。

「……お前、マワされたことあんだ?」

葉柱が焦ったような顔で目を逸らすので、それが間違いじゃないと確信する。

オレさ、お前のことそういうコトに使おうとは思ってなかったんだよな。
だって、処女なんてメンドクセーじゃん。
でも、経験あるってんなら、話はちょっと違ってくる。

「いつ?」
「さわ……んな…………」

床に膝をついて、葉柱の耳元に顔を寄せる。
コイツは、今自分の耳がとんでもない精度になったように感じてるハズだ。
それが、凄ェイイってのは、さっきオレも自分で体験済み。

「あっ……」

制服の上から性器を撫でると、葉柱が大げさに身体を仰け反らせる。

「言わねェと、テメェんとこのヤツら呼んじまうぞ」

それから葉柱のポケットを探り、目当ての携帯を取り出すと、それを見た葉柱が更に焦った表情を見せる。
ただし、腕にも脚にも力が入らないのか、芋虫みたいに床の上でのたうってるだけで、携帯を弄る手を邪魔するものはない。

「あぁ、これか? 荒戸とかって、お前んとこの部員だよな?」
「や、めろ……」

身体に動かない割には、目には力が戻ってる。

「なんで? きっと可愛がってもらえんぜ。こんな風に」
「あぁ、ン……」

睨みつけてくる目は、性器をちょっと撫でてやっただけで、切なげに閉じられる。
服を脱がさないまましつこくそれを続けると、簡単に熱を持って立ち上がってくる。

「誰がいい? 荒戸? 鬼沢?」
「やめろ、呼ぶな……」

そうだよな。こんな状態で、息荒げてアレおっ勃てて、賊学のアタマでアメフト部主将の葉柱様としては、そんな姿見せらんねーよな。
人選によっちゃ、ホントにマワされるかもしんねーし。

「じゃ、言えよ。いつヤラれた?」
「…………高1、んとき」

葉柱が、目をぎゅっと瞑って、顔を背けながら言う。

あぁ、なるほどな。
多分お前、高校入学早々、イキがってたんだろ?
だから生意気だって目ェつけられて、囲まれてマワされたんだ。
バカだなテメーは。

「何人?」
「…………」

強情にもまだ反抗する気らしいので、葉柱の携帯を顔の前でチラつかせてやる。
掴みかかってそれを取り返したいようだけど、相変わらず腕は床を這ったままだ。

「……5人」

どうにもならないことが分かったのか、吐き捨てるように言う。

「ふーん?」

結構多いのな。一巡だけ? 二巡したら10回ってことだよな。
マジヤラれまくってんじゃん。

「そんときだけ? 他には?」

ぐったりしてる葉柱のベルトを抜いて、うつ伏せにする。
ズボンを下着ごと引き下ろしてやれば、簡単に下半身を裸にできた。

「……にしてんだよっ! やめろっ!」

声に力が戻ってるから、意外と元気なのかもな。
ただ、腰骨の辺りを強く掴むと、急に緊張したように動かなくなる。

やっぱり、コイツは知ってんだ。
後ろからヤラれるとき、こうやってここ掴まれて揺さぶられんだってこと。

「なぁ、初めてのときって、どうやってされたわけ?」

自分の指を舐めて濡らしてから、葉柱のケツを開いて入口に触る。
クスリで全身の筋肉が弛緩してるせいか、そこは結構アッサリ二本の指を飲み込んだ。

「あ、や、めろ、やめろっ」
「言えよ」

ぐるっと中を探るように動かすと、葉柱が腕を前に逃して、床を泳ぐようにして逃げようとする。
やっぱ、長ェな、腕。
でも全然力が入ってないから、せいぜい床の埃を掃除する程度だ。

「言わねーと、止めねェぞ」

言っても止めねェけどな。

「前から? 後ろから?」
「…………後ろ、から」
「ふーん? こんな風に?」

指を抜いて安堵したところで、手早く自分の性器を取り出して、そこに押し当てた。
既にちょっと勃ってる。
だってさ、テメェ、生意気で、そのくせ哀れっぽくて、なんか興奮する。

「い、やだ、やめろっ」

悲痛な声が、耳に心地いい。
さっきのクスリ、オレも一個喰おうかなと思ったけど、やっぱり止めた。
アレもいいけど、今はお前だけヨガりまくってんの見る方が楽しそうだ。

葉柱の腰を掴みなおして、そのままぐっと体重をかけると、小さい穴が先端に広げられるのが見える。
それに更に興奮を覚えて、葉柱の腰を引き寄せるようにして全部挿れた。

力の入らない脚を支えるようにして、膝をつかせる。
腕をつっぱることが出来ないのか、上半身はつっぷしたままで、まさにヤラれるための格好だ。

「なぁ、気持ちい?」

身体を屈めて、耳元で聞いてみる。
声だけで、コイツが相当感じてるのは分かってる。
耳元なんかで囁かれたりしたら堪らんねェだろうって。

音に全身撫でられてるような気分だろ?
前に手を伸ばしたら、想像通りそこはすっかり勃起してて、既に先端から先走りを漏らしてた。

「ふざ、けんな……抜け……」

ヤラれちまったのに、まだ結構元気あんのな。
マワされたときも、そうだった?

膝をつく位置を調整してから、ゆっくり腰を使ってみる。
もっと鳴くかなと思った葉柱は、期待を裏切ってちょっとうめき声を漏らす程度。

それじゃおもしろくねーだろ。
しょーがねーから、オレがおもしろくしてやるけどな。

「なぁ、ヤラれたときって、中出しされた?」

耳元に顔を近づけて、囁くように言う。
それだけで、葉柱の身体が面白いくらい反応する。

コイツ、マジで結構具合いイイ。
もしかしたら、今までの中で一番かも。

「言えよ、またマワされたくねーんだろ」
「……もぅ、テメェがヤってんじゃねーか」
「だから、何人も相手にするより、オレ一人の方が楽だろーが」

言いながら前を弄ってやると、葉柱が身体をくねらせて背中が蠢いてる。
逃げようとしてんのか、感じてんのか分かりにくいけど、多分どっちもだな。

「そんなの、分かんねェ……」

なにが? あぁ、中出しされたかどうか?
ナマだったか、ゴムつけてたか、分かんねェって?

「嘘つくなよ。分かんだろ。中出しされたら、ケツからザーメン漏れてくんだろーが」

葉柱は黙ったままだったけど、首元がじんわり赤くなる。
あぁ、思い出した?
5人なんかに出されたら、凄かったんだろうな。
テメェのケツから精液垂れ流したこと思い出して、恥ずかしがってんだ?

「言えよ。どーなんだ」
「あっ、分かんねぇ、覚えてね、ン」

中出しなんかされてないって、否定しないのがもう答えだろ。
嘘つくのヘタだなお前。

「じゃぁ、お前はイったの? ケツに挿れられてさ」

質問の答えは、中が急にぎゅっと締まったのでどっちだったかなんてのは簡単に予想がついた。
葉柱が、もう何も言うもんかって感じで唇をかみしめたりしてるから尚更。

「イったんだ?」
「…………っ」

答えない葉柱に、また携帯をチラつかせようかと思ったけど、ぎゅっと目を瞑ってこっちを見ようとすらしない。
でもさ、目は瞑れても、まだ腕に力が入んなくて、耳は塞げないんだよな。

「男に犯されて、中出しされて、イったんだな?」
「…………」
「ケツ振って喜んだんだろ? 今みたいにさ」
「……違う」
「違くねェよ。ダラダラじゃねーか」

また前を擦ってやると、葉柱が高い声を上げる。
痛みとか苦痛じゃなくて、気持ちよくて上げる声。

「みっともねェ声出してんじゃねーよ」
「違う、ア、ン、ち、がう、違うっ、アァッ」

すっかり善がり狂いながらも、「違う」「違う」と繰り返す。
クスリのせいもモチロンあるだろうけど、後ろがゴクゴクと水を飲み下す喉みたいな動きで吸い付いてきてるから、それを除いたって、コイツ相当慣れてんだろ。

「言えよ、マワされて、感じましたって」
「ち……がうっ」
「今も強姦されて嬉しいだろ? ケツマン凄ェぜ?」
「違う、ヤメロ……シ、ネ……」

身体はすっかりメロメロなくせに、気ばっかり強ェのな。
そういうとこも、結構好みかも。

「じゃぁ、テメェはイクなよ? 感じねェんだろ? 男に犯されてもさ」
「…………ひ、ン」

多少乱暴に扱っても問題なさそうなので、遠慮なく腰を使う。
具合のいい穴の感触を確かめるように大きく抜き差しを繰り返すと、葉柱の腰がそれに合わせるように揺れる。

「イったらオシオキだからな? 嘘つきには、躾が必要だ」
「ぅ、う……」

泣いてるような声が聞こえるけど、葉柱が顔を伏せてるせいで、どうなのかは分からない。

「もしイったら、テメェの仲間呼んで、マワしてやるから。テメェが認めるまでな」
「やだ、嫌だっ……」

葉柱の性器はもうパンパンに張りつめていて、少し手を早くしてやれば簡単にイキそうだ。
でもこっちはまだだし、もっと追い詰めたくてゆるゆると扱いて、たまに先端を擦って苛めてみる。

「イキそう? 違うよな? そんなワケねーよなぁ?」

葉柱の顔が見たくなったので、片足を上げさせるようにしてひっくり返す。
挿れたまま行われる体位の変換に、葉柱がもんどりうって悶えてるけど気にしない。

泣いてるかもな、と思った顔はやっぱり、既に涙でぐしゃぐしゃになってた。

「なに? どうした? 誰かに苛められたか?」

親指で、目の淵の涙を拭いながらバカにしたように問いかければ、葉柱はやっぱり生意気そうな目で睨んできた。
そうそう。お前いーぜ。そういう顔。
かなり好み。

仰向けにした葉柱の身体を観察する。
やっぱり、性器は既に限界が近そう。

「……も、終われよっ」
「じゃ、もっと締めろよ」

パチンと腿を叩くと、反射的な反応なのか後ろがぎゅっと締まる。

「そうそう、うまいぜ」

じっくり楽しんでると、葉柱の反応が大げさになってくる。

「イキそう?」

良くなんてねェって言っといて、結局犯されてイカされんだ。

「……わかった、わ、かったから、あっ」
「あ? なに?」
「わかった、認める、から……」
「あー? なにを?」
「…………」

葉柱の目から強気な色が薄くなってる。

「イ、く、イキそう……あ、ン」
「ケツ気持ちいい?」
「う、ん……、から、呼ぶな、呼ばないで……」
「でも、最初に嘘ついたからなー?」

子供を諭すような口調でいうと、葉柱の目から大粒の涙がポロポロ落ちて、そのままうわ言のように「呼ぶな」「呼ぶな」と繰り返す。
辛うじてまだイクのを我慢してるのは、さっき言った通りイったらマワされると思ってるからだろう。

「じゃ、謝れよ、葉柱」
「あ、ン、なに……?」
「嘘ついてごめんなさいって、ホントはケツマン犯されて嬉しいですってな」

言った言葉に、葉柱の顔がぎゅーっと歪む。
ちょっと弱気になってた顔から一転、憎々しげに睨みつけられる。
こんな状態なのに、結構迫力なるなお前。

「なに? やっぱりオシオキが必要か?」

だからって、指一本満足に動かせない相手にビビる要素なんてなにもない。
顔を近づけて頭を撫でると、葉柱の目がまた潤んできて、逸らすように伏せられたそこからまた涙が落ちる。

「……ごめん」
「聞こえねェよ」
「…………ごめん、なさい」

屈辱に歪む顔をみると、言いようのない興奮が湧き上がる。
そのくせ身体の方は、チ×ポ銜え込んで腰くねらせてんだから尚更だ。

「あとは?」
「………………」

それにこうして、まだどうにか抵抗しようとする往生際の悪さも。

「言えねェの?」
「アっ……」

痛みを感じるくらいの強さで性器を掴んでやったのに、そこまでしたのに葉柱の身体は喜んだだけみたいだ。
ほんと、どうしようもねェカラダだな。

「ごめん……」
「それはもぅ聞いた」
「ごめんなさいっ、あ、ごめん、なさ……」

どうしても言いたくないのか、今度はバカみたいに「ごめんなさい」ばかりを繰り返す。
それも中々可愛いけど、オレが聞きたいのはもうそれじゃねーよ。

「やっぱりもっかいマワされりゃ、テメェの悪い頭でも理解できんのか?」
「やだ、やめろ……」
「あー?」
「やめて……許して…………」

葉柱の口調が、もう大分弱々しい。
それでも、目の奥にちょっとだけ、まだ強い光の芯が残る。
でもそんなのも既に虫の息で、もう一息で、コイツのプライドを完全に突き崩してやれると思うと楽しくなる。

「じゃ、言え」
「…………気持ちい、ン」
「なにが?」
「………………ケツ」
「ちゃんと言え」
「ケツマン、イイっ、あ、イク、イ……」
「嬉しい?」
「嬉しい、あン、ケツ気持ちイイっ」

ぎゅっと閉じられた葉柱の目を、瞼を捲るようにして開けさせる。

「ヘンタイヤロウ」

ヨガリまくる葉柱に笑いながら罵倒の言葉を浴びせたら、目の奥の光がスっと消えて、葉柱が完全に陥落したのを感じた。

「可愛いぜ葉柱」
「ア、アッ!」

葉柱の性器をキツく擦って射精したのを確認してから、そのまま涎を垂らして喘ぐ葉柱を揺さぶって中出しする。
葉柱の痙攣が収まるまで褒めるように頭を撫でてやる。

もうキツい視線も悪態も飛んでこない。

満足して性器を抜くと、相変わらず葉柱の身体が弱々しく震える。
適当に自分の性器を拭いて服を整えた後も、ぐったりしながら動かない。

それから、葉柱から取り上げた携帯のボタンを押した。

「よう、オレ。違ェよ。ヒル魔」

葉柱が不思議そうな顔をしてこっちを見て、それから持っているのが自分の携帯だと分かると今度は驚愕したような顔になる。

「お前らんトコの主将が帰れねェみてェだから、迎えに来てくんね?」
「や、めろっ」

腕でにじり寄ってくる葉柱の肩を蹴りつけて、伸ばそうとする手を踏みつける。

「あ? 知らねェよ。んー、あぁ、5人がいいな」

迎えの人数を指定して電話を切って、それから用のなくなった携帯を葉柱に投げ返した。
葉柱が受け取らなかったそれが、床に落ちてカシャンと音を立てる。

「……呼ばねェって、言っただろ」
「そうだっけ?」

とぼけるように返すと、葉柱の目に一瞬だけ燃えるような憎しみがともって、それからそれはスグに絶望したような色に変わった。

もう、どうにもなんねェってあきらめた?
それとも、まだその悪い頭で、どうにかなんねェかなんて考えてるのかな。

葉柱はまだ動けないようだし、むき出しの下半身と床に落ちる精液に、何をされた後っていうのが丸分かりだ。
脚を開かせれば、多分後ろの穴からだって漏れてくるだろう。

呼んだのはマワされたときと同じ人数の5人。

これから葉柱に行われる凌辱を想像すると、死ぬほど楽しくなった。

葉柱、前言撤回するよ。
やっぱお前、奴隷としては100点だ。


'13.05.10