ヘアピンでビンビン☆
目が覚めると真夜中だった。
たしか昼飯を食べて寝たはずだ。
どうやら夕食を食べ損ねたらしい。
「起こしてくれりゃイイのによ」
なぜだか鈍く痛む腹をさすりながら身を起こす。
夕食時に散々起こされて蹴りまでいれられたことを彼は知らない。
ふと見ると、ラウンジの明かりがまだついている。
こんな時間にラウンジにいるのは食料を漁りにきたネズミかコックくらいだ。
ネズミは明かりなどつけるハズがないので、後者だ。間違いない。
(ついてんな)
コックが起きているということは、メシにありつける。
機嫌が悪ければ蹴りの一発や二発もらうかもしれないがそれでも夜中一人で冷蔵庫を漁って生のハムを齧るよりはよっぽどウマい料理が食べられる。
それに勝手に冷蔵庫を漁るとネズミ捕りならぬルフィ捕りに引っ掛かる恐れもある。
なによりウマくすればコック自身もツマミ食いできるかもしれない。
(よし)
寝起きの頭でそんな不埒なことを考えながらなんだかゾロはなんだか意気揚々とラウンジへ向かう階段を上った。
「よぉ」
ガチャリとラウンジのドアを開けると、シンクに向かっているコックの後姿が目に入った。
「起きたのか」
「おぉ」
コックは手を止める気配もなく、ゾロも気にせずいつもの席に座る。
「腹減ったんだろ」
「‥‥おぉ」
「テメェの分は冷蔵庫にとっといてあるからとって食ってろ」
カチカチとコンロを弄る音とほどなくして漂ってくるイイ香りに、スープを温めなおしてくれているのを知る。
ゾロは言われた通り立ち上がり冷蔵庫を開けてみる。
「あ?なんもねェぞ?」
「あぁ?バカ。冷蔵庫の上だよ。油断してっとスグルフィが食っちまうからな」
言われて冷蔵庫の上を見ると乗せられたなにやらよくわからないツボやらタッパーやらの更に奥、ヒッソリとまさに隠すようにラップをかけられた料理が置かれていた。
(なるほど‥‥)
そんなコックの気の回りように感謝しつつも冷めた料理を一口二口。
コトリ、とスープの皿が横に置かれたので顔を上げるとタバコをくわえたコックと目が合った。
「おー、さんき————」
————目があった。両目が。
「あぁっ!?」
勢いこんで立ち上がったら後ろでガタンとイスが倒れる。
「おぁ、なんだよ」
まじまじとコックの顔を見るといつもは隠れている左眼が今は光々とした明かりのもとにさらされていた。
別に両目を見たことがないワケではなかったが、改めて見るとコックはやはり端正な顔立ちをしている。
「あぁ?コレか。食器洗ってるときナミさんが髪ジャマそうだからって貸してくださったんだ」
ヘアピン。
そういってコックはどうだ、羨ましかろう、とでもいうように胸をそらす。
ぴこぴこと口でタバコを弄んでいるスカしたコックの頭には、ピンクの花がふたつ、ちょこんと咲いていて。
立ち上がりぐいっ、と顔を両手でつかんでひきよせ、まじまじとコックの左眼を覗き込む。
「‥‥‥ずっとこうしてたのか?」
なんとなく胸がざわざわする。
夕食のときも?ルフィたちといるときも?
自分の知らない間に?
「いや、つけたのはさっきだ」
「‥‥‥そうか」
「なんだ、ヤキモチか大剣豪」
「‥‥‥」
なんとなく目をそらすとクスリ、とコックが笑うのを気配で感じる。
コックの左眼をみるのはたいていSEXの時くらいだし、おそらく他のクルーは見たことがないハズだ。
たしかに、言われてみればはてしなく子供くさい独占欲。
否定も肯定もできずコックの左目に口を近づけて、咄嗟にふさがれた瞼をペロリと舐める。
怒ってくるかと思ったコックは一瞬みじろぎしただけだった。
「テメェこそ」
「あ?」
「待ってたんだろ?わざわざソレつけて。オレの事」
なにか言わせる前に耳を甘く噛む。
コックが息をつめる気配。
それから急激に早くなった心音と上がる体温。
みると耳も真っ赤になっている。
(————図星だな)
照れているのはカワイイが、照れているときのコックは恐ろしいほど口汚くなるのでなるべく言葉を喋らせないように口で口を塞いだ。
かみかみと舌を甘噛みしてやるとスグにコックはとろけたように身をまかせてくる。
ちゅうちゅうと子供のように必死に舌を吸ってくるのでしばらく好きにさせていたら「テメェもちゃんとしろ」とでもいうように軽く背中を叩かれた。
思わず失笑が漏れる。
口をつけたまま料理をよけてテーブルの上にコックの半身を横たわらせる。
押さえつけたままコックの口の中をメチャクチャに蹂躙すると太腿にあたるコックの中心が熱を持ち始めた気配。
ぐりぐりとそのまま脚で刺激してやるとコックはびくびくと体を揺らせて喜んだ。
「あ‥‥‥」
ようやく口を離すともぅ半分放心状態のコック。
それでもフラフラとさまよわせる視線の先にさっきの料理をみつける。
「あ、メシ‥‥‥」
「後で食う」
————今はテメェを喰うし。
などとオヤジ丸出しなセリフはギリギリで飲み込む。コックが怒るから。
もともと上着とネクタイは外されていて、シャツのボタンを外すときも、コックは居心地悪そうにするだけで抵抗はしてこなかった。
すんなり行き過ぎる展開に、やはり自分を待っていたという読みは外れていないのだと思う。
ボトムの前を寛げて、かすかに芯を持ち始めたソレを緩く握る。
「ぅん‥‥‥」
「もぅ濡れてんじゃねェか」
「‥ッセー、クソヤロ‥」
くちゅくちゅと、わざと音がでるように先端を指で弄くる。
「テメ、ソレやめろっ‥‥」
「あ?あぁ、コッチも弄ってくれってことか?」
プツリと赤くなって立ち上がっているコックの乳首に噛み付く。
「んぁっ‥‥」
コックが顔をそむけるように横に振る。
ふと違和感を感じて、ソレがヘアピンのせいだと気付く。
いつものようにコックの金の髪がバサバサと乱れない。
なんとなくおもしろくなくて前髪にささっている2本のヘアピンを一気に引き抜いた。
ひきつれるような感触とブチブチという音。
「いっ‥‥テェっ!!」
コックが色っぽくない声で鳴いた。
「な、ナニしやがるっ!」
途端にコックが暴れ出す。
「なにってヘアピン取ったダケじゃねェか」
「今髪抜けたダロっ!」
オレの絹糸のような髪がっ!
とコックはとどまるところをしらないように罵声を吐きつづけ始める。
お前も抜いてやるといわんだかりにゾロの髪を両手で力いっぱい引っ張ってくるのでいいかげんメンドくさくなったゾロは、コックの両手を交差させるように片手で掴みコックの頭の上に押し付けた。
「テメェ!そうやって都合悪くなるとスグ筋肉にものをいわせやがってっ!」
「あぁ?ウルセーなぁ」
そう言いつつも、口汚いコックを好きなように弄くるのは楽しい。
普段はスカした顔した女好きのコックにエロいことをして、エロいツラをさせて、エロい事を言わせる。
「さて、今日はどうすっかな」
「な、ナニ考えてやがる」
不穏な気配を感じ取ったのかコックの抵抗が止む。
ふと、ゾロは握ったままのヘアピンを思い出した。
左手でコックの両手を押さえつけたまま起用に右手と口を使ってヘアピンを開く。
「て、テメェまさかソレ‥‥‥」
きゅっと、コックの右の乳首をピンクの花のついたヘアピンで挟み込む。
「ひっ‥‥‥」
「なかなか似合ってんじゃねェの?」
「さ、最低だお前っ!」
————よりによってナミさんから借りたヘアピンでっ!
コックがげしげしと太腿に蹴りをいれてきた。
コックの顔が明らかに羞恥で赤く染まっている。
それを見て思わずにやにやと笑いが漏れる。
「なにエロいツラして笑ってやがる変態っ!」
「エロいツラしてんのはテメェだろ」
ぴんっ、と強く指でヘアピンを弾く。
「ひんっ‥‥」
「こんなエロい体しやがって」
ヘアピンの上から乳首を弄られ身悶えるコックに煽られて自身も固く張り詰めるのを感じる。
ついでだからともう片方の乳首にもヘアピンをつける。
「ははは。なんともマヌケな姿だな」
「ザケンナっ、外しやがれっ」
「ナミのヘアピン、ケツに入れられるよりなマシだろ」
————それとも、イレられてェか?
耳元で囁くとコックがビクリと身をすくませた。
「‥‥クソ、最悪だテメェ」
これ以上変なことをされてはたまらないとコックは大人しくなった。
気を良くしたゾロは中途半端に下げてあったサンジのボトムを一気に抜きさる。
テーブルの上のサンジをひっくり返してうつ伏せにすると、測らずもサンジは腰を突き出したような恰好。
サンジの首筋は真っ赤になっていたが文句はいってこなかった。
自分の唾液で濡らした指を入り口に這わせる。
スグにいれないで入り口をヌルヌルと行き来していると穴がヒクつくのがわかった。
「スゲーヒクヒクしてんな。イレて欲しいか?」
「‥‥‥」
コックは何も言わない。
どうやらダンマリを決め込むつもりらしい。
「イイけどよ、せいぜいヨガってイイ声で鳴けよ」
ぐちゅぐちゅと乱暴に一気に2本の指を入れてかきまわす。
「うー、うぅっ‥‥んーっ‥‥」
コックが痛みとも快感ともつかない低いうめき声を漏らす。
「スゲー堪んねェ、テメェん中。早くイレてェ」
きゅぅ、と内壁が収縮した。
ずるりと指を引き抜いて、スグに膨張した性器をコックの中に突き込んだ。
「んあぁーっ!」
コックがネコのように体をそらせて高い声で鳴く。
相変わらずコックの中は熱くて絡み付いてくるようで、堪らなくなって夢中で腰を打ちつけた。
「ひんっ、あ、あんっ‥‥」
サンジのだらしなく開かれた口から唾液がしたたり落ちる。
後ろからゾロに激しくつきこまれるのと、体を揺らされてときどきテーブルの淵にあたる性器。
それからヘアピンをつけられたままの乳首がテーブルに擦れてイヤラしい刺激を送ってくる。
「ひっ、ん、‥‥ろ、も‥‥イクっ————」
ひときわ深く奥をついてやるとあっけなくサンジが絶頂を迎える。
キツい締め付けに歯噛みしつつもずるりと性器を引き抜いて、サンジの背中から腰にかけて白い液体を吐き出した
「で?どういうことなのかしらこれは」
ナミに言い寄られてじっとりと嫌な汗が頬をつたう。
「なんでオレに言うんだ。ソレはコックに貸したヤツだろ」
しかし目をみれない時点でゾロの負けは決まっていたのかもしれない。
ナミの手の中には無残にも花がとれて壊れたヘアピン。
翌朝、ハイヒールで蹴り起こされたゾロは甲板に正座させられていた。
なにをやっているのかとおもしろがった船長も隣にならんで正座している。
ぐいっ、とヘアピンを乗せた手のひらを眼前につきつけられる。
「じゃぁ、アナタはなにも知らないワケね?なんでコレが壊れたのかも。誰が壊したのかも」
「‥‥‥」
「答えられないの?」
「‥‥‥‥」
「じゃー、サンジくんを問い詰めようかしら」
「‥‥‥オレが壊した」
「最初っからみとめてればいいのよっ!」
ぐさっ、と壊れたヘアピンを頭に刺される。
「おぉぉおおっ!?」
「あんた借金二倍だからね。それから甲板の掃除!ついでに汚い男部屋も掃除しときなさいっ!」
たかがヘアピン1個でなんで借金が二倍だとか、甲板の掃除は関係ないだとか。
それでも昨日のことを思い出すとまんざら損した気分にもならないゾロだった。
'02.04.30