彼の怪我とその彼の病気




・・・・・・ケツが痛ェ。
そりゃぁもぅ尋常じゃなく痛ェ。

やっぱりアレが良くなかったんだ。
ちっとばかりマンネリを解消しようとかいって『強姦ゴッコ』とかしたのが。
あんま慣らさねェで突っ込んだからチョット切れたんだ。

それからアレだ。
そのチョット切れてケツ痛ェからダメだとかいいつつもまた『いやよいやよも好きのうちプレイ』とかしたのもいけなかったんだ。
結局いつもより燃えたしな。

まぁあと他にも『「ダメ、旦那が帰ってくる」プレイ』とか『新婚若妻調教ゴッコ』とか。
つまり、ケツを酷使しすぎたワケだ。

「まいったな・・・」

ちゃかちゃかと、オヤツ用の生クリームをあわ立てる手を止める。

そりゃ別にオレだってチョットケツが切れたくらいでギャーギャー騒いだりはしねェ。
しかし、これァ尋常じゃねェ痛みなんだよ。

座れねェわ蹴れねェわ、歩くにしても慎重かつがに股だわ。
クソでもしようもんなとんでもねェ。
っつーかウッカリ屁もこけねェよ。
おっと、こりゃ失言だ。貴公子は屁はこかねェ。

「こりゃ・・・しょうがねェよな・・・・・・」

そしてその夜、オレはコッソリラウンジにチョッパーを呼び出した。










「どうしたの?サンジ」
「あー、いや、あのな・・・」

まいったな、どう言やいいんだ。
「ちょっとケツが痛ェんだけど見てくれ」か?
なにが悲しくてトナカイに自分のケツの穴を晒さにゃならんのだ。

しかし、オレのケツの穴はいまや自然治癒を期待できるような状態じゃないし。
しかも多分ほっときゃ悪化は免れねェ。

「実はよぅ・・・」
「うん」

大丈夫、大丈夫だオレ。
確か医者には患者のプライバシーを守る義務があるんだ。
間違ってもチョッパーはこんなこと他のヤツラにバラすようなヤツじゃねェ。
明日の朝ナミさんに開口一番「あらサンジくん、切れ痔ですって?」なんて鼻で笑われることはありえねェんだ。

「ちょっとケガして・・・」
「ケガ!?いつだ!?早く言わなきゃダメじゃないか」

あぁ、愛らしいトナカイよ。
あっという間に医者の顔になってくれちゃって頼もしいぜ。

「やー、たいしたケガじゃないんだケドよー」
「たいしたケガかそうじゃないかは患者じゃなくて医者が決めることだ。だいたいこの船のヤツラはみんな自分の体を大事にしなさすぎる」

あぁ、そうだ。
自分の足を切り落とそうとしちまうバカ剣士とかな。
だがなチョッパー。お前がそんな真剣な顔をすればするほどオレは「ちょっとケツが切れました」と言い難くなるんだよ・・・。

「なんだよサンジ。ハッキリ言わなきゃわからないぞ」
「・・・・・・耳・・・貸しくれ」



それからの事は思い出したくもねェ。
誰もいないキッチンで平然とした顔のチョッパーに「じゃぁズボン脱いで四つん這いになって」とか言われて。 なんだかひんやりした棒でケツの穴をつつきまわされるわ広げられるわ。
ハッキリ言って「いっそ殺してくれ」状態だ。
羞恥死という死に方があったのならオレは死んでたね。

恥かしい恰好で診察されること数分、チョッパーが出した診断は「全治一週間。一週間ゾロとセックスしちゃダメだ」
あら、バレてるのねトナカイさん。

それでもとりあえず、塗り薬をもらったし。
クスリを塗ってやると言われたのと丁重にお断りし「これ飲んで寝ろ」とホットミルクをだして。
チョッパーが男部屋に戻ってから自分でクスリを塗ったらなんだかかなり穴の痛みが和らいだ。
さすが名医だ。
そして残すところの問題は、

————今オレの上にのしかかっているこのバカ野郎だ。



「チョッパーとなに話してやがったんだよ」

クスリを塗り終わって服を正して、さてオレも寝るかというところでドアを開けて入ってきたバカはあっという間にオレをラウンジの床に転がした。
オレのシャツをズボンから引っ張りだしたりしてるし、なんだかもぅヤル気満々だ。

「よく聞け。オレはケガ人だ」
「ウソつけ、元気じゃねェか」
「ケツの穴が重症だ」
「あ?んなこと言ったって昨日まで毎日ヤってたじゃねェかよ」

毎日ヤってたからこそこんなんなっちまったんじゃねェかよ。

「つーことはなにか、お前あのトナカイにケツの穴見せたんか」
「うっせぇっ!オレだってあんな恰好したくなかったわっ!!」
「ふーん。じゃ、オレも診てやるよ」

器用に肩口でオレの体をおさえつけたままカチャカチャをベルトを探る気配。

「うそつけ!お前のはなんつーかエロ目的だろーが」

そもそもこの筋肉バカに、しかも薬で楽になったとはいえケツの穴が痛くて下半身に力が入らない状態で勝てる訳もなく、またオレはあの忌まわしき四つん這いの体勢をとらされる。
ちきしょう最悪だ。屈辱だ。
とりあえずこの屈辱的状況に僅かに興奮している自分は無視するとして。

ズルリと、一気に膝まで下着ごとズボンを下ろされた。

(なんかクスリ塗ったとこがスース—すんな)

ひんやりとした外気に気を取られた隙にバカの指がなんの遠慮もなくケツの穴にもぐりこんできた。

「なんかぬるぬるしてんな」
「そ、そりゃクスリだバカ野郎っ」

や、やっぱり痛ェ。
スゲェ痛ェ。
指一本でこんなに痛ェんだからセックスなんて絶対無理だ。

「お、コレか」

指が抜かれたかと思ったら、なんだか冷たいものがケツに塗りこまれた。
おそらくあの薬だ。

「な、なにやってんだ!」
「これだったら楽に入りそうだよな」

粘着質のソレのせいで本数の増やされたケツの穴からはぐちゅぐちゅとか卑猥な音がいつもよりハッキリ聞こえてくる。
一瞬、痛みのひどい個所をゾロの指がかすめていって思わず声が出た。

「うぁっ」
「なんだよ、感じてんじゃねェかよ。スケベな野郎だな」

こんの・・・どうしようもねェクソ野郎がーっ!!!
ぐちぐちと、これは多分ゾロ自身に薬を塗りこんでいる音だろう。
四つん這いだった体勢をひっくり返されて、間も置かずにゾロのソレが正常位の状態でケツの入り口にあてがわれた。

「ホ、ホントにちょっと待て・・・っ」

バカが待てと言われて待つはずもなく、ずちゅり、とヌメりをともなったソレがあっさりオレのケツの穴に挿入された。

ううぅ。痛い。痛いよナミさん。
なんでオレこんなめにあってるんだろう。
男とセックスなんてしてたのが悪かったのかな。
あぁ、助けてロビンちゃん。
そういえばロビンちゃんは体の一部を咲かせられるならおっぱいも増やせるのかな。
あぁ、あなたの胸に埋もれてェ。
なのにオレは今筋肉野郎に肉棒を埋め込まれてんだよ。

「コレ、ぬるぬるしててなんかいいな」
「とっとと抜きやがれバカ野郎がっ!」

脚で背中を蹴り飛ばしてやりてェがいかんせんチョットでも動くとケツが痛ェ。
モチロンそんな状態で動かれても気持ちイイはずもねェし。
しかし上のケダモノはオレの事情そっちのけで自分の気持イイように腰をふりやがる。

「はぁ・・・。オレ、ゾロの為にやめとけって言ったのにな」
「あぁ?」
「オレのケツの穴、酷いことになってるらしいぜ?」

「チョッパーがいってたんだけどよ」
「中は傷だらけだししかもぐちゃぐちゃに膿んでるって」
「あー、細胞が壊死をおこして腐ってるとも言ってたな」

ゾロがあからさまに嫌な顔をした。
そりゃそうだ。今自分の突っ込んでる穴が「腐ってる」とか言われていい気がするのやつなんていねェ。
まぁちょっと特殊な趣味をお持ちの方は別として。

それでも一回始めた「気持ちイイ事」をやめるつもりはないらしいがまぁ後一押しだ。

「オレはヤメロって言ったのにな」
「しかもお前今ゴムもつけないで生だよな」
「あーぁ。可愛そうに。きっとチンポ腐って落ちるだろうな」

見る間にゾロが顔の色をなくしていく。
そりゃそうだ。19の若い身空で不能はキツイだろ。
さすがの剣豪様も性病は怖いと見える。
顔の色を失っていくついでにチンコの硬度も失ってあっというまに萎えチンだ。

「あー、やっぱケガ人に無理させちゃマズイよな」
「ん?オレはかまわねェぜ?」
「悪化しちゃマズイしな」
「大丈夫だって」

言い分けのような言葉をぼそぼそと残して心配そうにチンコをしまったバカはそそくさとラウンジを出て行った。

ちょっと切れたくれェでケツの穴が腐ってたまるかバカ野郎が。

適当にキッチンペーパーで体を拭いて、すっかり減ってしまった薬に溜め息をつきつつ慎重に塗りなおすとケツをかばいつつゆっくりとラウンジを後にした。





−後日−

「え?診て欲しい?ドコを?えっ!?なんで!?ふんふん。サンジと。大丈夫だよ。別に異常ないし。チ★コ腐って落ちたりしないから」


'02.10.04